近年、AppleWatchの機能でも注目されるようになった睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり(無呼吸)、浅くなったり(低呼吸)することで身体の様々な場所に悪影響を与える疾患です。
「10秒以上の呼吸停止が、1時間あたり5回以上繰り返す」と確定診断となります。
指標として1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数をAHI(REI)と表します。正常値は5回/h未満です。
いびきをかく方の2‐4割がSASであり、日本人では900万人程度存在すると言われております。
主な原因肥満、舌が大きい、のどの空間が狭い、顎が小さい(下顎後退)、加齢、飲酒
主な症状いびき、呼吸停止、息苦しさで目が覚める、夜間頻尿、日中の眠気 、集中力低下、記憶力低下、倦怠感
身体への影響:睡眠中に酸素不足状態となるため、全身に負担がかかり、最終的に寿命に影響します。・心臓・脳関連:高血圧、不整脈、心不全、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血
・代謝への影響:糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム
検査・身体診察:BMI、鼻腔所見、のどの通気性の確認(舌の大きさ、扁桃腺の大きさ、アーチの高さ)
・簡易アプノモニター:最初に行います。末梢の酸素濃度や呼吸状態、いびきの程度を自宅で測定します。
・PSG 終夜睡眠ポリグラフィー:脳波が含まれるため睡眠の深さまで測定可能です。より精度が高い検査です。今までは基幹病院に一泊入院して行っておりましたが、自宅でも検査可能となりました。
簡易アプノモニターで中等度(AHI 15-29)の結果が出た場合に追加で行います。
治療:簡易アプノモニターの検査結果により対応が変わりますAHI 5-14 軽症の場合
・減量…体重を10%減量するとAHIが25%改善、20%減量するとAHIが50%も改善します。
・飲酒制限…就寝時の舌根沈下を軽減
・禁煙…のどや気管内の炎症を抑えることで気道の狭窄を防ぎます。
・横向き寝…就寝時の舌根沈下を軽減します。抱き枕や仰向けセンサー等が販売されております。
・鼻の治療…内服薬や点鼻薬、場合によっては手術による鼻の通気性改善を行います。
・マウスピース治療(口腔内装置)…下顎を前方へ出して気道を広げたり、舌が奥に落ちないよう支えます。AHI値が10-15程度改善すると言われております。歯科クリニックで作成します。
AHI 15-29 中等度の場合
・上記検査項目のPSGを行い、脳波や睡眠の質まで詳しく検査します。
PSGの結果、AHIが15以上と確定するとCPAP治療が可能となります。
AHI 30 重症の場合
・CPAP療法…顔にマスクを着用し機器から空気を送ることで、気道の閉塞を防ぎ全身に酸素を届けます。
簡易アプノモニターでAHIが30以上と判定されると精密検査を行なうことなく、CPAP治療を開始することができます。
保険適応で月一回のクリニックの診察料の中に最新機器のレンタル費用や消耗品、専門の業者の出張・対応費用が全て含まれております。業者による装着指導や消耗品の手配は手厚いです。
効果:睡眠の質の改善、いびき改善、疲労軽減、血圧低下、心血管・脳疾患のリスク低減、健康寿命の延長
まとめ:睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の酸素不足によって高血圧・心疾患・脳卒中などの万病のリスクを高める、命に関わる重大な疾患です。
「大きないびき」「呼吸停止の指摘」「日中の眠気」がある場合は検査を受けることをおすすめします◎
適切かつ早期の治療により、睡眠の質だけでなく健康寿命や生活の質(QOL)の改善が期待できます。
特別な予約は必要ありません。受診当日、受付や診察室でお申し付けください。
文責:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科専門医 本田 徹