良性発作性頭位めまい症は、めまい患者さん全体の20~40%程度と最も多い疾患です。
特定の頭の動きにより、1分間未満のめまい症状が生じ、難聴やその他の神経症状を認めないことが特徴です。
原因 ・平衡感覚を感じ取る耳石というカルシウムの結晶が、本来の位置から剥がれ、半規管内を浮遊したり、特定の場所に付着することが原因と言われております。
・頭の動きと共に耳石が動き回ることでめまいや吐き気、眼振(がんしん:眼が自分の意思とは無関係に動くこと)が出現します。
・寝返りや普段と異なる体勢、頭部への衝撃等で耳石は剥がれやすくなります。
・骨粗鬆症との因果関係も指摘されておりますが、若年者でも生じます。
症状
〇 めまい:ぐるぐる回るような回転性の場合が多い。初めは強いが次第に弱くなり、安静にするとやがて消失します。
数秒~1分間持続します。寝返りや起き上がる時、頭を上下や左右に動かした時に起こりやすいです。
〇 眼振:めまい症状がある時のみ出現
〇 吐き気、嘔吐
〇 1-2週間で軽快することが多いが、個人差もあり。場合によっては1カ月程度長引くこともあります。
〇 難聴や耳鳴りなどの聴こえに関する症状や呂律困難等の脳神経症状はみられません。
診断・検査
・発症状況やめまいの性状等の問診、眼振検査を行って診断します。
・眼振検査では赤外線CCDカメラやフレンツェル眼鏡という特殊な装置を使用します。
・その他の危険なめまい疾患を除外することも重要で、鼓膜の観察、聴力検査、重心動揺検査、場合によっては頭部の画像検査を行うこともあります。
治療・日常の注意点
・『良性』と名前に付く通り、本人の治癒力で耳石が本来の位置へ戻るため、自然軽快することが多いです。
・症状が長引く方、平衡感覚の乱れや吐き気が強い方は抗めまい薬や制吐剤を使用します。
・寝返り体操や耳石置換法等で改善することもあります。逆効果となる場合もあり、浮遊した耳石の位置が特定できるときが安全です。
・発症直後は安静にしますが、耳石の戻りを促進するため、調子の良いときは少しずつ体を動かすことが推奨されます。急な頭や体の動きは控えます。
・予防としては①枕をやや高くする→耳石が落ちにくくなる、②普段と異なる場所や体勢では寝ない、③骨粗鬆症の治療等があります。
◎一カ月以上、症状が継続する場合は他の疾患が隠れていることもあり、精査を推奨することがあります。
めまい症状全体の半数以上は耳鼻咽喉科疾患が原因ともいわれております。
ご心配な方は耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
文責:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科専門医 本田 徹