長引く咳について🤧 咳喘息、喉頭アレルギーを中心に
咳は会話を妨げたり、夜間の睡眠を障害したりと日常生活の質を大きく下げる症状の一つです。
耳鼻咽喉科で遭遇する長引く咳症状をきたす代表的な疾患は①咳喘息、②喉頭アレルギー、③後鼻漏症候群(鼻水や膿がのどに下りてくる状態)、④胃食道逆流症があります。
③は鼻炎や副鼻腔炎等の鼻腔内疾患、④は胃酸逆流の治療を行うことで改善が期待されます。
今回は特に症状が似ている咳喘息と喉頭アレルギーについてまとめました。
◎咳喘息
特徴:長引く咳(3-8週間続くことが多い)が主な症状です。
名前が似ている気管支喘息では「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴や息苦しさがみられますが、咳喘息では咳以外にあまり症状がないことが特徴です。
熱や痰は目立たないことが多く、胸部レントゲン検査でも異常がない場合がほとんどです。
呼吸機能検査の異常は少なく、呼気の中の一酸化窒素濃度は気管支喘息と同様に上昇することが多いです。
気管支喘息との違い
|
咳喘息 |
気管支喘息 |
|
主な症状は咳だけ |
咳・喘鳴(ゼーゼー)・息苦しさがある |
|
呼吸困難は通常ない |
発作時に呼吸が苦しくなる |
|
呼吸機能検査は正常のことが多い |
呼吸機能検査で異常 |
|
治療しないと約30~40%が気管支喘息へ移行する |
軽快と増悪を繰り返すため継続的な治療が必要 |
誘因:夜間や早朝の自律神経変化、会話や運動、冷たい空気、感冒、煙や香水などの刺激
治療 ① 吸入ステロイド薬:気道の炎症を抑え、狭くなった気管を広げる効果があります。咳喘息治療の中心
②その他の内服薬:ロイコトリエン受容体拮抗薬(気管支拡張作用)、去痰薬、抗アレルギー薬、漢方薬
咳が治まっても気道の炎症は残っていることがあり、再発や気管支喘息への移行を防ぐため、慎重な経過観察や誘因からの回避が必要となります。
◎喉頭アレルギー
花粉やハウスダスト、のどの炎症などが原因で、のど(喉頭)の粘膜の過敏性が上昇する疾患です。
主な症状は、長引く乾いた咳やのどのかゆみ・イガイガ感で、「のどに何か引っかかる感じ」や「咳払いを続けたくなる感じ」を伴うこともあります。一方で、発熱や多量の痰は通常みられません。
咳喘息との違い
|
喉頭アレルギー |
咳喘息 |
|
炎症の場所は「のど(喉頭)」 |
炎症の場所は「気管支」 |
|
のどのかゆみ・イガイガ感・異物感が目立つ |
咳が主な症状 |
|
咳払いが多い、外部からの刺激が誘因となりやすい |
夜間・早朝に咳が出やすく、運動等も誘因となる |
|
抗ヒスタミン薬が有効なことが多い |
吸入ステロイド薬が治療の中心 |
治療
- 抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)、漢方薬、うがい薬
- 原因となるアレルゲンの回避、防御:マスク着用、うがい、室内の加湿加温
☺いずれの疾患も細いカメラで鼻やのどを診察することで診断に近づきます。
また喉頭アレルギーと後鼻漏症候群など、複数の疾患が併存していることも多く、数種類の治療薬を組み合わせて対応します。
クーラーを24時間継続して使用する時期となり、のどの痛みや咳の症状の方が増えてきました。
睡眠や会話にも影響する咳が気になる方は一度、耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
文責:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科専門医 本田 徹