「寝ている時にいびきが大きい、時々呼吸が止まる」「7時間寝てもまだ眠い」
日中の疲労や眠気を感じたり、家族からの指摘で気付かれることが多い疾患、それが睡眠時無呼吸症候群です。
舌がのどの奥に落ち込むことでいびきが生じ、完全に閉塞すると呼吸低下や呼吸停止になります。
寝ている時に十分な酸素が体内に取り込めず、少しでも脳に酸素を送るため、心臓が通常以上の働きを行います。
これにより心臓に負荷が掛かり、脳も酸欠状態となり6-7時間寝ても体力は回復せず、慢性的な頭痛や疲労感を感じます。
高血圧や心不全、脳梗塞の原因となり、気付かない間に生命予後も8年ほど短くなるといわれております。
体格の良い方ばかりが生じる疾患ではなく、扁桃腺が大きい方、扁桃腺の上側のアーチが低い方、あごが小さく、少し引いている方、鼻づまりが強い方、舌が大きい方、晩酌が日課の方…
このように睡眠時無呼吸を引き起こしやすい条件は多岐に渡ります。
鼻やのどの構造に通じており、観察や評価ができるのは耳鼻咽喉科医です。
いびきや無呼吸の自覚症状がある方、睡眠の質を調べたい方、家族に症状があり心配な方、一度、近くの耳鼻咽喉科クリニックへの受診がおすすめです。
【検査・治療の流れ】
①鼻、のどの診察:この時点でいびき、無呼吸の原因が大体分かります。
②自宅での簡易アプノモニター:検査キットが自宅へ郵送され、通常と近い条件で一晩寝ることでいびきの程度や無呼吸の重症度が分かります。
③結果説明:検査から約2週間後にクリニックで結果説明を行います。
軽症の方→鼻の通気性の治療、歯科でのマウスピース作成、減量
中度の方→基幹病院で1泊の精密検査
重症の方→自宅での検査のみでCPAP(睡眠時の呼吸をサポートする機器)の導入可能
CPAPを装着することで1時間あたり40-60回程度の無呼吸発作が生じていた方が、1時間あたり0.1回程度(正常値5回未満)と劇的に改善するケースが多いです。
月々の負担は診察料のみ(機器メンテナンス、管理料含む)で、健康保険が適応されるため自己負担額は3割程度に抑えられます。3割負担の方で5000円程度、2割負担の方で3000円程度です。
当院では的確な診断と、患者さんのライフスタイルに合った治療提案を心がけております。
文責:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 専門医 本田 徹